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桜、故郷へ還る — 3C田園調布での開花(後編)

3Cの街並みのなかで、支柱に支えられながら満開の花をつけた若いソメイヨシノ

前編では、3Cの計画地で伐採されたソメイヨシノの挿し木に挑み、1年目の失敗を越えて2022年に発根を確認するまでをお伝えしました。後編は、その苗木が花を咲かせ、生まれた土地へ還るまでの記録です。

鉢に植え替えられ、青々とした葉を広げる桜の苗木
発根した苗は鉢を大きくしながら育てていく

2023年 春 — 新芽、そして小さな初開花

2023年2月、「生きているのか枯れているのかわからない」不安な冬を越えて、苗木に新芽が動き出しました。花芽ではないと確認しつつも、その生命力に改めて喜びを感じました。

そして同年3月、相模原店から報告が届きます。水差しで育てていた挿し穂に、小さな花が咲いたというのです。

ボウクスでも開花宣言! 相模原の挿し木はお花が咲いたそうです!!
— 桜プロジェクト担当 杉崎(2023年3月)

小さな挿し穂から育った苗が、桜の花をつけた。ソメイヨシノの挿し木からの初開花です。ごく幼く小さな花でしたが、プロジェクト全体の確かな手応えになりました。

2023年 夏 — 2度目の猛暑を踏ん張る

開花の喜びも束の間、夏が来れば管理の緊張感が戻ってきます。2023年の夏も厳しい暑さが続き、葉が焼けてしまうものも出ましたが、何とか持ちこたえました。ベランダにシェードを設置して直射日光を遮るなど、地道な暑さ対策を続けました。

咲いたからといって、この時点の苗木はまだ非常に若く、根も浅い状態です。「咲いたから大丈夫」ではなく、環境の変化への対応力を育てていく期間でもありました。

葉を広げて夏を越そうとする2鉢の桜の苗木
2度目の猛暑。シェードで直射日光を遮りながら越えた(2023年夏)

2024年 春 — 相模原で迎える、最後の春

2024年3月、苗木は2度目の春を迎えました。つぼみをつけた苗木の写真とともに報告が届きます。この春が、相模原店で過ごす最後の春になる予定でした。

3月27日につぼみが膨らみ、4月2日、開花宣言。

次は田園調布へお引越ししますよ。残りの半年ほど、それまでにたくさんの愛情と栄養を蓄えてください。
— 桜プロジェクト担当 杉崎(2024年4月)

挿し木からおよそ2年。相模原店で丁寧に育てられた苗木が、確かな桜の花を咲かせました。

枝先に白い花を開いた、相模原店で育てられた桜
相模原店で迎えた最後の春、開花宣言(2024年4月2日)

2024年11月29日 — ソメイヨシノ、故郷へ還る

2024年11月29日、苗木はいよいよ3C(田園調布)へと移されました。もともと植えられていたプランターより三倍以上大きな穴を掘り、慎重に、慎重に植え替えました。

一度は別れを決意したこの土地に、戻ってくることができました。
— 桜プロジェクト担当 杉崎(2024年11月29日)

2021年の伐採から3年。TNDの理念のもと、地域の記憶を街に還すという思いが、一本の苗木という形になりました。

3Cの前庭で、スコップを使って桜の苗木を植え付ける作業の様子
もとの鉢より三倍以上大きな穴を掘って植え付ける(2024年11月29日)
白い柵のそば、バークチップを敷いた植栽帯に植え付けられた桜の若木
3Cの地に根を下ろした(2024年11月29日)

2025年 春 — 故郷での、感動の開花

2025年春、ついにこの日が来ました。3Cに根を下ろした苗木が花を開き始め、4月3日には満開を迎えます。

相模原店で大切に育てられた桜の苗木が、3C田園調布に戻って来て、今年も桜の花を咲かせてます。丁度満開で、しっかりと花芽を付けて育ってます。
— 坂口(2025年4月3日)

2021年の伐採、1年目の試行錯誤、2年目の発根、川崎・相模原での成長、そして里帰り。すべての積み重ねが、この満開の姿に宿っています。

3Cの植栽帯で、白い花を枝いっぱいに咲かせた桜の若木
故郷での満開(2025年4月3日)

2025年 5〜7月 — 支えながら、見守る

5月には、強風で根がぐらついたり枝が折れたりしないよう、添え木を施しました。幼い木を支える手入れが続きます。

7月、メンテナンス担当からの報告は短いものでした。

元気です。
— メンテナンス担当(2025年7月)

短い一言でしたが、それ以上に安心感のある報告でした。

白い柵のそばで、支柱に支えられて葉を広げる桜の若木
強風で根がぐらつかないよう添え木を施した(2025年5月)

2026年 — 3Cで迎える2回目の春

2026年2月末、3Cのソメイヨシノは芽吹きを待つ姿でした。植え付けから1年余り、幹はしっかりと太り、枝ぶりも広がっています。この木にとって、この土地で迎える2回目の春です。

葉を落とし、芽吹きを待つ3Cの桜の枝ぶり
2026年2月末。幹は太り、枝ぶりも広がった

よくあるご質問

里帰りはいつ実現しましたか?

2024年11月29日、相模原店で育てた苗木を3C(田園調布)に植え付けました。伐採から約3年後のことです。

3Cでの初開花はいつですか?

2025年春です。3月に咲き始め、4月3日に満開を迎えました。植え付けから約5か月後のことです。

挿し木から開花まで、合計何年かかりましたか?

2022年に発根した苗木が翌2023年3月に相模原店で初開花。2024年4月には相模原店で本格的な開花宣言を迎え、2025年4月には3Cの地で満開となりました。挑戦を始めた2021年から数えると、故郷での満開まで約4年です。

3C(Cedar Creek Community)とはどのようなプロジェクトですか?

ボウクスが田園調布で手がける、TND(伝統的近隣住区開発)の理念に基づく開発プロジェクトです。車への依存を見直し、歩いてコミュニティにアクセスできる、人間的なスケールの街並みを目指しています。詳しくは 3Cのページをご覧ください。

この街は、これから熟成していく

2021年の伐採から始まった桜プロジェクト。1年目の失敗、2年目の発根、相模原での開花、そして3Cへの里帰りと故郷での満開——5年にわたる記録は、ここで一区切りを迎えます。

ボウクスは1955年(昭和30年)の創業以来、建築資材の問屋・卸売業として住環境に関わってきました。建材を届けるだけでなく、街そのものの在り方に携わる。桜プロジェクトは、その姿勢を一本の木で示した取り組みです。

街は、完成した瞬間がいちばん良いのではありません。植栽が育ち、枝が伸び、住む人の手が入って、少しずつ良くなっていく。3Cではいま、桜と梅の枝が触れ合いそうなほどに育ってきました。この桜がどう育っていくのかも含めて、街が熟成していく過程を、これからも春ごとにお伝えしていきます。

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